湯たんぽ
朝晩めっきり冷え込む季節は体調を崩しやすい。ちょっと風邪気味かなと思った先日、ホームセンターの家庭用品売り場で、子ども時代に使っていた湯たんぽと再会した。
在早晚天气骤冷的季节里,身体状况很容易出问题。前些天,想着自己是否感冒了,来到福利中心的家庭用品售卖处,在那儿发现了自己孩童时代曾使用过的暖水壶。
カメの甲羅のようなブリキ製のあれである。昭和30年代には、今のような軽くて暖かい寝具は出回っていなかったから、湯たんぽは欠かせなかった。ただし栓が小さいので熱湯を入れるのは難しい。毎晩母に入れてもらっていた。ネルの袋も母の手作りだった。
此物是像乌龟壳那样的马口铁皮制成的。在昭和30年代,市面上并没有像现在这么轻便而温暖的寝具,所以暖水壶是必不可少的。只是壶塞过小,要往里边加热水是比较困难的。母亲每晚都帮我往里边加好热水。睡袋也是母亲亲手缝制的。
作家の故向田邦子さんも回想している。「湯タンポは翌朝までホカホカとあたたかかった。自分の湯タンポを持って洗面所にゆき、祖母に栓をあけてもらい、なまぬるいそのお湯で顔を洗うのである」(「父の詫(わ)び状(じょう)」)。湯たんぽの周りでは、時間がゆっくり流れていた。
已故作家向田邦子对此也有回忆。“暖水壶到了翌日清晨依旧是热乎乎的。把自己的暖水壶带动洗手间,让祖母打开塞子,用温热的水洗脸。”(《父亲的道歉信》)。这些年,时间从暖水壶的周遭悄然流逝。
もともとは中国伝来である。清代の小説「紅楼夢」にも登場するという。日本でも元禄期には使われていたらしい。かつては陶製だったが、昭和初期から金属製が普及した。高度成長期に広まったガスや電気の暖房器具に追われて、ほとんど姿を消していたものの、今また注目されている。
此物原本是由中国传入。据说在清代小说《红楼梦》中就已出现。在日本元禄时期也有使用。此物原本为陶制品,自昭和初期起,金属制品开始普及。在经济高度成长期,得到普及的煤气及电暖设备,使得暖水壶渐渐地退出历史舞台,但现在它们又再度引起了人们关注。
店頭には、ゴム製やプラスチック製も並ぶ。湯たんぽは空気を乾燥させないので、肌にやさしい。電気の消し忘れもない。こうした様々な効用が見直されている理由だろう。
在商店里,也摆放着橡胶制品和塑料制品。暖水壶不会使空气干燥,因而对皮肤也很温和。而且人们也不用担心忘了关掉电源。(暖水壶再度受到欢迎)再水壶少或许正由于这些重新为人们所认同的理由吧。
湯たんぽという名前も、とても温かそうだ。「たんぽ」とは、器をたたいたときの音から来たという説と、中国語で湯たんぽを意味する「湯婆」の唐音が語源だが、それが忘れられて、「湯(ゆ)」が付け加えられたという説がある。
暖水壶这个名称听起来就令人觉得十分温暖。“朝夕”一词,是由表示其本意的扣击器皿所发出的声响,及中文里表示暖水壶 ‘汤婆’这个唐音的辞源而来。但这些涵义已为人所淡忘,有人认为这不过是在其前面加上一个表示热水的“汤”而已。