孤独

孤独

冬空を過ぎ去った一つの鳥のかげのように自分の前をちらりと通り過ぎただけでそのまま消え去るかと見えた一人のたびと、――その不安そうな姿は時が経つにつれていよいよ深くなる痕跡を菜穂子の上に印したのだった。

その日、明が帰っていた後、彼女はいつまでも何かわけのわからない一種の後悔に似たものばかり感じ続けていた。

何故あんなに相手にすげなくして、旅の途中にわざわざ立寄ってくれた者を心からの言葉一つ掛けてやれずに、帰らせてしまったのか、とその日の自分がいかにも大人気ないように思われたりした。そう思う今でさえ、彼女の内には、もし自分がその時素直に明に頭を上げてしまっていたら、ひょっとしてもう一度彼と出会うような事があった場合、そのとき自分はどんなに惨めな思いをしなければならないだろうと考えて、一方では思わず何かほっとしているような気持ちも無い訳ではなかった。

菜穂子が今の孤独な自分がいかに惨めであるかを切実な問題として考えるようになったのは、本当にこの時からだといってよかった。彼女は、丁度病人が自分の衰弱を調べるためにその痩せさらばえた頬へ最初はおずおずと手をやってそれを優しく撫で出すように、自分の惨めさを徐々に自分の考えに浮べ始めた。

孤独

宛如一只掠过冬季天空飞鸟的影子一样,从自己的身前一晃又消失得无影无踪的一位游客——这种似乎不安的身姿随着时光的流逝,越来越清晰的印在了菜穗子的脑海里。

那天,明离去之后,一种莫名其妙的似乎后悔的感觉一直缠绕着她。

自己为什么那么无情,发自内心的话一句也没说就将一个旅途中特意来看自己的人打发走了呢?她觉得那天自己的行为真不像是成年人 的做法。可是即使持有这种想法的现在,每当想起那天如果坦率的向对方道歉的话,也许两个人又会再一次相逢,那时自己又将会感到多么的凄惨,因此,在其内心深处反倒有一种如释重负之感。

也可以说,就是从那时起,菜穗子才作为一个切实的问题,考虑自己目前的孤独是多么的悲惨。她就像病人为了检查自己身体的衰弱一样,最初提心吊胆的用手轻轻的抚摸着那瘦削的面颊似的,将自己的凄惨的心情慢慢的浮现于自己的脑海里。