出にくい大学

出にくい大学

予備校(よびこう)の先生の体験談(たいけんたん)。授業中、一番前の席で机に足を上げている学生がいる。「なんでそんな事をするのか」と叱った。「どうしていけないんですか」と問い返してきたそうだ。

もちろん例外である。にしても、ひと昔前はこうした場面はまず、なかった。マナーの低下(ていか)は著しいという。十八歳の若者十人のうち五人は大学進学を志望し、四人が現実に入学する。大学がますます大衆化(たいしゅうか)した、そんな時代だから現れた光景かもしれない。足を上げた学生も合格した。

大学審議会(しんぎかい)が二十一世紀の大学像、改革策をまとめた。その中に、卒業を厳しくする「出にくい大学」の実現という項目がある。日本の大学はずっと、「入りにくく出やすい」といわれてきた。それでは学生の質が落ちる。しっかり鍛えて有用な人材に育てよう。と、それが狙いのようだ。

けれどもこの項目、答申前から現場の大学の先生の間で、必ずしも評判はよくない。むろん賛成者もいるが、批判的な声のほうがより聞こえてくる。卒業できず留年(りゅうねん)する学生が増えれば、教室は不足するし、先生も手が足りなくなる。定員を大幅に超過(ちょうか)し、動きが取れなくなる。つまり、現実的でないというのである。

「やっとのことで入学した学生も少なくない。できない学生ばかり大学に残ったらどうなると思いますか」。言いにくいことだがと、そう打ち明ける先生もいた。私立大生五千七百人に「講義について望むこと」を尋ねたところ、「わかりやすく教えて欲しい」との回答が八割を占めた。講義についていけない学生も多いのだ。

三十数年前、「出にくい大学」をめざした私立大があった。三年立たずに頓挫(とんざ)した。卒業できないのではないか、就職(しゅうしょく)に不利ではないか、と学生の動揺(どうよう)が激しかったという。あれこれ聞くと、審議会のもくろみ通りに運ぶのかどうか、どうも心もとない。

毕业难的大学

这是高考补习学校一位老师的亲身经历。上课时,他发现坐在第一排的一名学生把脚放在课桌上,于是,他指责学生:“你为什么要这样做?” 学生却说:“我为什么不能这样做?”当然,这是一个特殊的例子。不过在10 年前大概不会有这种场面。人们会说这个学生太不懂礼貌。现在,10名18岁的年轻人中有5个人希望上大学,其中有 4名考上了。大学逐渐变成大众化了,也许是处在这样的时代才会发生这种现象。那位曾经把脚放在课桌上的学生,现在也考上了大学。

大学审议会提出了二十一世纪的大学形象,并且制定了改革方案,其中有一条就是要实现对学生毕业严格要求的“毕业难的大学”。人们历来认为日本的大学是“入学难毕业容易 ”,这样,造成学生的质量下降。审议会的目的就是要对学生加强训练,使之成为有用的人才。这就是改革方案的目的。

然而,在接到反馈信息之前,这种方案在教学一线的大学教师中间的反响未必能说好。当然也有人赞成,但是,批判的呼声比赞成的要高得多。认为如果不能毕业的留级学生增加了的话,不仅造成教师紧缺,教师也会短缺。若学生编制定额大幅度增加的话,学校就无法正常运营。也就是说在现实中,这种方法并不能实现。

还有的教师讲出心里话: “好不容易才考入大学的学生也为数不少,成绩不佳的学生如果全留在学校里,那该怎么办呢?”虽然这种话难以启齿。我曾经向5700名私立大学的学生作了一次“你希望能听到什么样的讲课呢?”的调查。结果,得到的回答是“希望讲得容易一些”。持有这种想法的学生占被调查的学生80%.这是由于许多学生跟不上课程。

30多年以前,有的私立大学曾经想把大学办成“毕业难的大学”,但是,不到三年就受到了挫折。据说。这是因为学生们的情绪受到了很大的动摇,担心无法毕业,对于找工作不利。听了这些议论,我实在担心审议会的方案是否能顺利实施。