世界に例のない不思議な国旗
アメリカ合衆国の国旗「星条旗」の星数は五十個だが、一九五九年(昭和三十四年)までは四十八個で、横六列に各八個の星がキチンと並んでいた。一九五九年にアラスカとハワイが州に昇格<しょうかく>したので、星数が増えたのである。
つまり州が増えるたびに星数が増え、配列が変わる。こんな国旗は世界に例がない。星条旗は一七七六年に、ワシントン家の紋章<もんしょう>を参考に制定したが、当時十三州だったから、現在のような横列にはならず、青地<あおち>に白い星が円形<えんけい>になっていた。一八一八年には二十個になり、円がむずかしくなった。
しかもこのときまでは星とともに赤白の縞<しま>も州の数だけ増え、もうこれ以上増えると縞が線になってしまうので、サミュエル。C.レンドの提案で赤白の帯は建国十三州のみを表現することになり、増えるのは星だけとなった。
アメリカは「国旗の国」といわれるほど国旗を大切にする。だから絵画でもよく国旗が出てくるが、その星の数でいつごろの時代の時代の絵かも判断できる。西部劇、特に騎兵隊ものには必ず国旗が出てくるので、ファンのなかには、すばやく星数を数えて、その映画の時代考証の深さを計る人も少なくない。もっとも映画に登場する旗が垂れ下がったり、ひらめいたりしている上に、画面がいつ変わるかわからないので、カメラでコマ撮りをして勘定したマニアもいた。だいたい三十九個(一八九〇年まで)か四十六個(一九一二年まで)が多いそうだ。
西部劇には星条旗と、ときに南部連邦<れんぽう><バトルフラッグ>もよく登場する。南部連邦の国旗は映画「風と共に去りぬ」の祝賀パーティーにも登場したが、右側に赤白赤の三本縞、左側は青地に七つの白星(のちに十一)を円形に描いたものだが、遠目に星条旗と見分けがつかず、戦場で混乱を起こしたので、赤地に対角線交差の青い聖アンドリュー十字に白星十三個を並べた戦闘旗を制定した。この旗はいまでも南部人の精神的支柱<しちゅう>になっていて、何かというとかつぎ出される。それだけ、黒人にとっては人種差別の象徴として恐怖<きょうふ>と憎悪<ぞうお>の対象になっている。
世界上独一无二不可思议的国旗
美利坚合众国的国旗“星条旗”的星数是五十颗,但到一九五九年(昭和三十四年)还只有四十八颗,横六行各有八颗星整齐地排列着。一九五九年阿拉斯加和夏威夷升级为州,所以星数增加。
也就是说星数随州数增加,行列产生变化。这样的国旗在世界上是独一无二的。星条旗在一七七六年,参考了华盛顿家族的徽章设计而出。当时只有十三个州,所以不像现在横向排列,而是青底白星,星排列成圆形。一八一八年增到了二十个州,再组成圆形就难了。
而且到这时候红白色条纹也与星数一样,随着州数递增,再增加的话条纹就要变成线条了,于是根据赛缪尔。C.雷德的提案,规定红白色条纹仅代表建国十三周不变,增加的只是星数。
美国不愧被称为“国旗之国”,十分重视国旗。所以即便是绘画当中,也随处可见国旗的踪影,根据星数多少可以判断那大致是什么年代的画。西部片里,特别是骑兵队,肯定带着国旗,在影迷之中,有不少能很快根据星数考证电影年代的人。甚至还有些狂热份子,因为影片里的旗下垂或者随风飘扬,又不知道画面什么时候变换,他们就用相机抓拍下画面再判断。据说大体以三十九个(到一八九零年止)、四十六个(到一九一二年止)居多。
西部片里星条旗多,有时也出现南部连邦的战斗旗。南部连邦的国旗在电影《乱世佳人》里庆贺晚会的场面里出场,右侧是红白红的三条条纹,左侧是青底上七颗星(后来变成十一颗)排成的圆形。因为远看很难与星条旗区别开来以致在战场上引起混乱,后来就制定了新的国旗,红底上有对角线交叉的蓝色圣安德鲁十字和十三颗白星。这面旗至今还是南部人的精神支柱,说起什么事动辄就被举出。正因如此,对黑人来说这是种族差别的象征,是恐怖和憎恶的对象。