一年の計

一年の計

北京では、二十四節気の「小寒」から「大寒」までがいちばん寒いという。一月の五日ごろから二十日ごろ ま で だ . 北 国北京の一 月、大 地は严 し い 寒 さ にこ お いてつ き、野 か ら も、 山 か ら も、街 か ら も花 は 姿を消してしまう。だが、じっと耳を澄ますと、この凍(い)てつく大地の奥底(おくそこ)から、明日を呼ぶもろもろの花の息吹が聞こえてくる。

雪と氷(こおり)に覆(おお)われた大地の下で?数多(あまた)の花が夢をふくらませているのだ。連翹(れんぎょう)は百花咲く春に向かって、薔薇(ばら)は烈日(れつじつ)輝(かがや)く夏に向かって、紫苑(しおん)は碧天広がる秋に向かって……、大きく夢をふくらませている。静かに一年の計をめぐらしているのだ。

「一年の計は元旦にあり」という。これといった花も無く、緑も薄い元旦の北京で想う百花の春、万緑の夏、黄金(おうごん)の秋……は、ことのほか麗しい。真っ白い紙の上には思いのままに美しい花を描くことができるのだ。北京の人たちは、赤、白、黄、橙 (だいたい)、紫(むらさき)……と、春夏秋冬のあの花、この花を心に思い浮かべながら、あれやこれや一年の夢を描き、一年の計に胸をはずませる。

元旦の北京——静かに目を閉じると地の底からは春を呼ぶ花々の合唱(がっしょう)が聞こえてくる。街のあちこちからは明日に寄せる北京人の力強い脈動(みゃくどう)が響(ひび)いてくる。さらに遠くからは、「何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝晴れて風無し。」という隣国の詩人啄木(きつつき)の歌も伝わってくる。

この新年の壮麗な交響詩を耳にしながら、書き始めの筆をとろう。万里の長城の彼方、東の空に昇る(のぼる)真紅の初日の出いっぱいに、大きな字で書きしるそう、一年の計を……

一年之计

在北京,据说从二十四节气的“小寒”到“大寒”是最冷的。大约是从一月五日到二十日左右。北国北京的一月,大地被严寒冰封,田野、山林、街道,都失去了花儿的踪影。但是,如果你侧耳倾听,还是能听到从这冰封的大地最深处传来的花儿们呼唤明天的声息。

被冰雪覆盖的大地下,无数种花儿正在梦想。连翘向着百花盛开的春天,蔷薇向着烈日炎炎的夏天,紫菀向着碧空万里的秋天……张扬着梦。静静地思考着一年之计。

“一年之计始于元旦”。在这样既没有花儿又缺少绿色的元旦的北京,想象的百花的春天、万绿的夏天、金色的秋天,都分外艳丽。因为在纯白的纸上能描绘出与想象一样美丽的花儿。北京的人们,心头浮现着红、白、黄、橙、紫色…春夏秋冬这种那种的花儿,一边又这样那样地在心中描绘着一年之梦,盘算着一年之计。

元旦的北京——如果你静静闭上眼睛,就能听到从地底传来的呼唤春天的百花的合唱。街道上回响着寄望明天的北京人强有力的脉搏。从更远的地方,也传来了邻国诗人啄木的歌:“风和日丽,元旦的早晨,想来今年定有喜事。”

听着这新年的壮丽的交响诗,拿起笔写作吧。在万里长城的那边,东边的天空已完全升起了鲜红的新年的第一轮太阳,用大字记下吧,这一年的计划……